古本に挟まっていた一枚の名刺から、運命が動き出す
愛猫を亡くし、喪失感にうちひしがれていた立花明海は、西船橋の古書店で普段は読まない自己啓発系の本を買う。
すると、中に元の持ち主の名刺が栞代わりに挟んであり、明海が最も心を動かされたフレーズにはすでに傍線が引かれていた。
気になった明海は意を決して名刺の「大滝あかね」に連絡をとる。
会うと、あかねは明るい年上の女性で、日常の物事を幸福感たっぷりに捉えている“幸せの天才”だった。
明海には、今まさに恋愛関係に発展しそうな会社の同僚・松原弥生がいたが、あかねの存在が徐々に大きくなっていく。
だが…あかねには恋人がいた。彼は病に伏し、余命宣告を受けているという―。